「サイドミラーに自分の車がどのくらい映っているか、正確に把握していますか?」——この問いに対して、自信を持って即答できるドライバーは驚くほど少数です。多くのサンデードライバーやペーパードライバーの車両を点検すると、車体がミラーの3分の1から半分近くまで映り込んでいるケースが頻繁に見受けられます。
自分の車輪やドアノブが見えていると「自車との位置関係が分かって安心する」という心理的安心感が働きます。しかし、光学的には自車を多く映せば映すほど、肝心の「車道外側」に向く角度が内側に狭まり、隣の車線を走る自動車やバイクがすっぽりと隠れる巨大な死角を自ら生み出す結果となります。
逆に、死角を恐れるあまり外側に広げすぎると、今度は自車と他車の距離感や空間の基準点が消失し、車線変更時の車間距離が測れなくなるジレンマに陥ります。運転席サイドミラーの割合として安全工学上推奨される「自車のボディが全体の約4分の1(内側端)」という数値は、空間認識の基準点と外側視野の広さを両立させるために計算し尽くされた防衛ラインなのです。
上下方向の調整ミスも事故の温床です。「白線やタイヤを見たい」という理由で地面ばかりを映していると、後方から高速度で接近する後続車のヘッドライトや動態を早期に捕捉できません。水平線がミラーの上下中央に位置するバランスを保つことが、動体認知において決定的な意味を持ちます。