公式発表資料によると、ラウンドワン府中本町駅前店が惜しまれつつ営業を終了したのは2021年3月28日(日)24時でした。当時は突然の告知に「黒字店舗ではなかったのか」「競馬場があるのに撤退する理由が分からない」と、ネット上でも様々な憶測が飛び交いました。取材データと業界動向を突き合わせると、閉幕に至った構造的な要因が3点浮かび上がります。
第一の決定打となったのは、定期建物賃貸借契約の満了です。同店舗が入居していた建物は、もともと昭和期に「忠実屋府中店」、のちに「イトーヨーカドー府中店」として地元経済を支えていた大型商業ビルでした。イトーヨーカドー撤退後、2004年にラウンドワンが居抜きに近い形態でリノベーション出店した経緯があります。建物をまるごと借り受ける契約形態において、更新時期の到来とビルオーナー側の資産活用方針が合致したことが発端となりました。
第二に、建物の老朽化と耐震・維持管理コストの高騰が挙げられます。竣工から40年以上が経過した躯体は、最新の環境基準や防災スペックへの更新に莫大な資本的支出(CAPEX)を要する状態にありました。ボウリングフロアの重量負荷やアミューズメント機器の消費電力設備など、特殊な仕様を維持し続けるハードルが年々跳ね上がっていた現場の実情が存在します。
第三のファクターは、2020年から2021年にかけて直撃した感染症拡大に伴う営業時間短縮と集客制限です。当時の株式会社ラウンドワン決算短信や説明会資料を精査すると、グループ全体で深夜営業の制限やゲームセンター・カラオケ部門の稼働停止要請を受け、不採算懸念のある賃貸型拠点の整理を加速させる方針が明確に打ち出されていました。駅前型の旗艦店であっても、賃料負担と更新費用の投資回収が見込めない拠点は例外なく見直しの対象となったのです。