彼女の足跡をたどる上で、宝塚歌劇団月組トップスター時代の伝説的エピソードを外すことはできない。類まれなるスタイルと抜群のダンサビリティで、男役の概念そのものを美しく塗り替えた。名作『ガイズ&ドールズ』で見せたクールかつコミカルな演技は、今なおファンの間で語り継がれる傑作パフォーマンスだ。
そして退団公演となった『薔薇の封印』。ヴァンパイアという人間離れした役どころを、圧倒的な美意識と切ない孤独感をもって演じ切り、劇団史に刻まれるラストステージを作り上げた。指先一つ、衣装の裾の翻し方に至るまで、美学が徹底されたその立ち姿は、男役美の最高到達点と言っても過言ではない。