大涌谷を訪れたら絶対に外せないのが、地熱と火山ガスを利用して作られる名物「黒玉子」だ。温泉池でじっくり茹でられた生卵は、殻に鉄分が付着し、さらに硫化水素と反応することで真っ黒に変化する。「1個食べれば7年寿命が延びる」という長寿の言い伝えはあまりにも有名で、大涌谷くろたまご館や周辺の売店では連日買い求める人々で行列ができる。
この伝説の起源を辿ると、平安時代初期にまで遡る。かつてこの地は「地獄谷」と呼ばれ、荒涼とした荒野が広がっていた。そこを訪れた弘法大師 空海が、過酷な地獄の光景に心を痛め、人々の救済と延命を祈願して一体の地蔵尊を彫ったとされる。それが現在も現地に鎮座する「延命地蔵尊」であり、黒玉子の延命利益のルーツとして今なお多くの参拝者を惹きつけている。