話題沸騰中のカップヌードルCMにおいて、視聴者の好奇心を最も刺激しているのが「元ネタの正体」です。パロディ楽曲から人気アニメのリメイク、実力派声優のキャスティングまで、その仕掛けは重層的に作り込まれています。
なかでも社会現象級の反響を巻き起こした代表格が、カップヌードル シフードヌードルのCMで起用されたボカロP・ゆこぴ氏による楽曲『強風オールバック』のパロディです。原曲のアニメーションを手掛けたイラストレーター・小夜子氏のテイストをそのまま生かし、ランドセルを背負った少女が外に出て強風に煽られるシュールな世界観を「夏は食っとけシーフード」という替え歌で見事にジャックしました。ネット上で数千倍に拡散された二次創作文化を、巨大ナショナルクライアントが自ら完璧な精度でトレースした衝撃は、ニコニコ動画やYouTube発のカルチャーを愛する層を唸らせました。
アニメパロディの頂点として語り継がれるのが、青春をテーマにした「HUNGRY DAYS」シリーズです。『魔女の宅急便』『アルプスの少女ハイジ』『サザエさん』、そして『ONE PIECE(ワンピース)』の登場人物たちが「もしも現代の高校生として青春を過ごしていたら」というIFの世界を描き出しました。キャラクターデザインには漫画家の窪之内英策氏を迎え、音楽にはBUMP OF CHICKENの楽曲を採用。さらに声優陣には、ルフィ役に田中真弓氏、ゾロ役に中井和哉氏といったオリジナルキャストを惜しみなく投入したほか、梶裕貴氏や林原めぐみ氏ら第一線で活躍するトップ声優陣が名を連ねました。単なるギャグにとどまらず、1フレーム単位で作画の小ネタ(背景に隠された原作キャラクターの姿など)を散りばめたことで、コマ送りでの検証作業がネット上で過熱しました。
日清のアンテナは、ボカロカルチャーの深層にも張り巡らされています。Kanaria氏の手掛けた大ヒットボカロ曲『酔いどれ知らず』のリズムに乗せて具材へのこだわりをまくしたてる展開など、ネット音楽シーンの潮流を掴む速度は広告業界内でも異例の速さを誇ります。流行してから企画を立ち上げるのではなく、バズの萌芽を見出した瞬間に権利元へアプローチするスピード感が、視聴者に「日清がまたネットの流行を公式に狂気リメイクした」と驚かせる要因となっています。