ここ数年で鑑賞料金の改定が進み、プレミアムシートや特殊上映の追加料金を含めると、映画鑑賞は決して「手軽な暇つぶし」ではなくなった。それにもかかわらず、映画館の熱気は冷める気配がない。
理由はシンプルだ。タイパ(タイムパフォーマンス)が叫ばれる時代において、スマホを机に置き、暗闇の中で2時間作品だけに集中する時間は、現代人にとって最高の「デジタルデトックス」であり、贅沢な体験だからだ。他人のすすり泣く声、息をのむ瞬間、エンドロールが終わった後の静寂。あの空間でしか得られない一回性の体験に、人々は喜んで対価を支払っている。