ネット上の防災コミュニティや地域掲示板では、時折「長良橋のライブカメラを見て、まだ橋桁まで空間があるから避難は不要」といった楽観的な書き込みが散見されます。しかし、この解釈には河川防災上の重大な盲点が潜んでいます。
第一の盲点は、上流山間部(郡上市・美濃市)の降水ピークとのタイムラグです。長良川は流域面積が極めて広く、岐阜市街地で雨が小康状態になっていても、上流の奥美濃地域で記録的短時間大雨が降っていた場合、数時間後に大量の出水が津波のように長良橋付近へ押し寄せます。「市街地の空が明るくなってきたから安心」と思い込み、カメラ監視を怠った瞬間に水位が急伸する事例は過去に幾度も繰り返されてきました。
第二の盲点は、伝統行事である長良川鵜飼 運航状況との関連性です。観光客を中心に「鵜飼船が出ているから川は安全」と誤解されがちですが、鵜飼は平常時であってもわずかな増水や濁りで即座に中止判断が下されます。運航可否の境界線は防災上の危険水位より遥かに低いレベルに設定されているため、鵜飼の中止情報をもって直ちに氾濫直前と恐慌状態に陥るのも、逆に「ギリギリまで大丈夫」と過信するのも、どちらも正しいリスク認知とは言えません。