全日本葬祭業協同組合連合会や冠婚葬祭互助会の関係者への取材、斎場の受付実務経験者の証言を突き合わせると、形式論だけではない「受付現場の過酷な現実」が浮かび上がってきます。
都内斎場で年間20件以上の葬儀受付をボランティアや親族として担当してきた50代男性は、当時の現場の混乱について次のように手記で語っています。
「通夜の受付は開式前のわずか30分から1時間の間に数十人から百人以上の会葬者が集中します。中袋を開けて金額を確認し、芳名録と照合する作業は戦場のような忙しさです。その際、香典複数枚お札の揃え方がバラバラで、千円札と五千円札が混ざっていたり、表裏が互い違いに入っていたりすると、枚数を数える手が止まり、受付全体の滞留につながってしまいます」
遺族側が後から香典袋を開封して集計する際にも、向きが揃っていない香典は余計な労力を強いる原因になります。礼儀作法としての意味合いだけでなく、受け取る側の作業負担を最小限に抑えるという実利的な配慮が求められているのです。