ネット上には「足裏の痛みはツボ押しで一発解消」「痛む部分を強く揉みほぐせば治る」といった不確かな情報が氾濫していますが、これらには医学的に重大な盲点が存在します。
最大の誤解は、「炎症が起きている組織を力任せに圧迫・摩擦すること」です。足底腱膜炎の本態は、腱膜の変性と微小断裂を伴う無菌性の炎症です。傷口に塩を塗り込むように硬いボールや指圧棒で強くグリグリと刺激すれば、毛細血管の破綻や腱膜の線維化(硬化)を招き、治癒を大幅に遅らせてしまいます。痛む箇所そのものを強く揉む行為は、急性期においては絶対に行ってはなりません。
もう一つの盲点は、市販インソールの安易な購入です。ドラッグストア等で「衝撃吸収」を謳うジェル状の柔らかすぎるインソールを敷くと、一瞬は心地よく感じられます。しかし、足元がグラついて不安定になり、かえって足裏の筋肉や腱膜がバランスを取ろうと過剰に緊張して痛みが悪化するパラドックスが起こります。本当に必要なのは「柔らかいクッション」ではなく、「骨格の崩れを適正な位置に留める適度な剛性(硬さ)を持ったアーチサポート」なのです。
さらに、「痛み止め(湿布や消炎鎮痛剤)を貼って痛みが引いたから治った」と思い込むのも危険です。薬剤は神経の痛覚伝達を遮断しているに過ぎず、腱膜への物理的牽引力や足部のアライメント不良という根本原因は何一つ解決していません。痛みが麻痺した状態で普段通り激しく動き、結果として腱膜の重度断裂を招く事例は臨床上決して珍しくありません。