行政やメディアから手放しで賞賛されることの多い富山市のスマートシティですが、実際に暮らす市民や現地利用者はどのような実感を抱いているのでしょうか。住民アンケートやSNS、地域コミュニティでの声をつぶさに検証すると、歓迎と戸惑いが入り混じるリアルな現場像が浮き彫りになります。
「市内中心部に住んでいると、LRTとMaaSの組み合わせは本当に便利。雨や雪の日でも運行状況がスマホで分かりますし、車を持たずに暮らせる安心感があります」(富山市中心部在住・30代会社員)
「用水路の水位が手元の画面で確認できるのは、大雨の夜に川を見に行かなくて済むので命拾いしています。近所の高齢者仲間でも、この見守り機能や防災速報アプリを使っている人は増えました」(富山市南部在住・70代住民)
一方で、手厳しい指摘や課題を訴える声も少なくありません。
「中心街ばかりがスマート化して、合併前の旧町村部や山沿いエリアは置いてけぼりにされている気がする。バスの本数は減る一方で、デマンドタクシーのアプリも高齢者には操作が難しすぎる」(郊外在住・60代自営業)
「アプリやサービスがいくつも分かれていて、結局どれを見ればいいのか迷うことがある。行政主導のプラットフォームは機能が多すぎて直感的に使えない」(市内在住・40代主婦)
ハードとデジタルの恩恵を中心市街地が最大限に享受する一方で、郊外居住者との心理的・利便的格差がじわりと広がっている現実が窺えます。