ネット上の掲示板や動画サイトでは、「管理会社に高い手数料を払う必要はない。駐車場の賃貸借契約書のコピーを警察署に出せば、保管場所使用承諾証明書の代わりとして無料で受理される」というテクニックが紹介されることがあります。この言説は、法的には半分正しく、実務上は極めて危険な落とし穴を孕んでいます。
警察庁が定める保管場所証明事務の取扱い基準では、確かに「保管場所使用権原を疎明する書面」として、保管場所使用承諾証明書に代えて「賃貸借契約書の写し等」を添付することを認めています。しかし、警察署の窓口で実際に受理されるためには、以下の厳格な要件をすべて満たしていなければなりません。
- 契約者名義の一致:車庫証明の申請者本人と、駐車場契約の賃借人名義が完全に一致していること。
- 区画番号の特定:契約書面または添付図面上に、割り振られた「駐車区画番号」が明記されていること。
- 契約期間の有効性:申請日時点で契約期間内であり、かつ一定期間(概ね1ヶ月以上)の残存期間があること(自動更新条項がある場合は更新が継続していることの証明が必要)。
- 賃料支払いの実態証明:直近の賃料引き落としが記帳された通帳のコピーや、発行された領収書の提示を求められるケースが多いこと。
ここで大東建託の契約形態が大きな壁となります。大東建託の賃貸物件では、部屋の賃貸借契約と駐車場の契約が一本化されているケースが多く、契約書面上で「駐車場区画番号」が明確に印字されていない、あるいは「敷地内駐車場1台分」としか記載されていない例が散見されます。また、契約の自動更新に伴い、当初の契約書に記載された有効期限が数年前に切れたままになっているケースも少なくありません。
管轄の警察署窓口において、担当官から「区画番号が特定できない」「最新の有効期間が証明できない」と判断された場合、その場で書類を突き返され、結局は大東建託パートナーズへ承諾書の発行を依頼することになります。納車直前の段階でこのトラブルに見舞われれば、納車日が延期となり、ディーラーや家族を巻き込んだ深刻なスケジュール破綻を招くリスクがあります。