「登山口によって日の出の見える時間や方角は変わるのか」という疑問は、初心者が最も混乱しやすいポイントです。結論から言うと、山頂の標高(3,776メートルの剣ヶ峰付近)に到達してしまえば、どのルートから登っても日の出そのものの発現時刻は同一です。しかし、「山頂のどの地点に到達するか」によって、太陽を正面に捉えられるタイミングと視界の抜けは決定的に変化します。
代表的な4大登山口の特徴と、ご来光鑑賞における地理的力学は以下の通りです。
山梨県側の吉田ルートを利用した場合、登り切った先は山頂の北東側に位置する「久須志神社」付近となります。この場所は吉田ルート山頂日の出の特等席として知られており、眼前に遮るもののない大パノラマが広がります。7月の北東寄りの日の出に対して完璧なアングルを誇る反面、登山者の約6割が集中するため、鳥居周辺は午前3時過ぎから足の踏み場もないほどの混雑に達します。
一方、静岡県側の富士宮ルートを登り詰めると、山頂南側の「浅間大社奥宮」付近に到着します。ここは火口を挟んで南東側に開けているため、8月中旬以降の日の出には適しているものの、日本最高峰の「剣ヶ峰」へ移動して御来光を拝もうとする人が集中します。須走ルートは本八合目で吉田ルートと合流し、御殿場ルートは山頂東南東に到達しますが、いずれのルートを選んだとしても「山頂火口のどこに陣取るか」で日の出を視認できる瞬間が数分単位で前後する点に留意しなければなりません。