日本の新幹線と韓国のKTXの間で、旅行者が最もカルチャーショックを受けるのが「改札口が存在しない」という事実です。駅構内の動線と現場ルールを把握していなければ、無用なパニックに陥ることになります。
まず、起点となるソウル駅KTX乗り場案内です。地下鉄1号線・4号線、空港鉄道A'REXからソウル駅に到着した場合、案内標識の「KTX / 鉄道(Rail)」に従って地上2階の中央コンコースへ向かいます。コンコースには大型の電光案内板(発車案内標識)が設置されており、列車番号(例:KTX 023)、出発時刻、行先(Busan)、そして発着番線(Track)が表示されます。前述の通り、番線が確定して表示されるのは出発の約15〜20分前です。それまでは中央待合ロビーや飲食店で待機し、番線が表示された段階で該当ホーム階(地上1階)へとエスカレーターで降ります。
ホームへ降りる際、日本の新幹線のような自動改札機やICカードのタッチ機、切符の投入口は一切ありません。これがヨーロッパの鉄道等でも広く採用されている「信用乗車方式(Proof-of-Payment System)」です。改札がないため、チケットを持っていればそのまま列車に乗り込み、自分の指定座席に着席するだけで乗車手続きは完了します。
しかし、「改札がないから検札も緩い」と誤解してはいけません。車掌は車内を巡回する際、乗客一人ひとりに切符を見せるよう求めることは原則しませんが、手元のPDA(携帯情報端末)でリアルタイムの座席販売状況を常に監視しています。「システム上は空席のはずのシートに人が座っている」「区間外の乗客がいる」といった異常値は端末上で瞬時に把握されます。万が一、有効な乗車券を持たずに乗車していたり、自由席券で指定席を占有していたりした場合は、不正乗車とみなされ本来の運賃に加えて0.5倍から最大30倍の重い付加運賃が厳格に徴収されます。予約画面のスクリーンショットやQRコード付きのEチケットは、いつでもスマートフォンで提示できるよう準備しておく必要があります。
終着となる釜山駅からのアクセスも極めて合理的です。KTX釜山駅の改札を出ると、駅前広場の地下を通じて釜山地下鉄1号線「釜山駅」に直結しています。チャガルチ市場や南浦洞(ナンポドン)方面へは地下鉄1号線で直通約7分〜10分、西面(ソミョン)方面へも約12分で到達可能です。海雲台(ヘウンデ)方面へ向かう場合は、駅前バスターミナルから運行されている急行バス(1001番等)を利用するか、地下鉄1号線から西面駅で2号線に乗り換えることで、市内の主要観光拠点へスムーズに移動できます。