世界的な食肉需要の拡大と乱獲リスクの高まりに伴い、水産業を取り巻く国際情勢は厳しさを増している。こうした中で水産庁および農林水産省は、水産資源の回復と食料自給率向上に向けた包括的な成長産業化方針を打ち出している。
その核となるのが、最先端のデジタル技術を導入した「スマート水産業」だ。養殖分野では、AIを活用した自動給餌システムやIoTセンサーによる水質・水温のリアルタイム管理、ドローンを用いた生け簀の点検が導入され、労働環境の改善とコスト削減が著しく進んでいる。さらに、陸上に閉鎖循環型の水槽を構築する陸上養殖は、海洋汚染のリスクを回避し、消費地近郊での生産を可能にする新たな産業として急成長を遂げている。
一方、栽培漁業においては、単に稚魚を放流するだけでなく、水産資源の産卵場となる「藻場」や「干潟」の保全活動と一体化した包括的な沿岸域管理が重要視されている。水産庁は、養殖と栽培、そして天然漁獲のベストミックスを追求することで、激変する海洋環境下でも揺るがない食料供給体制の確立を目指している。