物語全体の最大の推進力となっていた謎の人物「T・Oさん」。社内の備品管理室という窓際部署からスタートした麻理鈴が、社内報の写真にわずかに写り込んでいたイニシャルを手がかりに探し求めた運命の相手です。
その正体は、近江物産の花形部署である海外事業部などに籍を置く超エリート社員、田村収(たむら おさむ)でした。知的で物腰が柔らかく、社内でも一目置かれる存在の田村収は、麻理鈴にとってまさに手の届かない高嶺の花でした。
やがて麻理鈴は彼と直接対面を果たし、業務を通じて関わりを持つようになります。しかし、距離が近づくほどに麻理鈴は「自分が本当に求めていたのは彼に守られることではなく、彼と同じ視点で世界を見られる自分になることだった」という事実に気づかされます。田村収という存在は、麻理鈴の中に眠っていたバイタリティと才能を呼び覚ますための、かけがえのない人生の羅針盤だったのです。