産婦人科の臨床現場において、妊娠8週は一つの大きなマイルストーンとして位置づけられています。受精から妊娠7週週末(妊娠55日目)までの期間、お腹の中の命は医学的に「胎芽(たいが)」と呼ばれます。この胎芽期は、心臓や脳、消化器、手足など、人間として生きていくために不可欠な主要臓器の原基(基礎構造)が一斉に形成される極めて重要な器官形成期です。
そして満8週(妊娠8週0日)を迎えた瞬間から、呼び名は正式に「胎児(たいじ)」へと切り替わります。主要な器官の基礎デザインが完了し、ここからは各器官がさらに複雑に機能を発達させ、身体を急速に大きくしていく成長期へとフェーズが移行するためです。
最新の高解像度エコー機器で観察すると、赤ちゃんの姿はまさに劇的な変化を遂げています。それまで丸みを帯びた楕円形に見えていた影が、はっきりと頭部と胴体に分かれた2頭身のシルエットを描き始めます。頭部には脳胞と呼ばれる脳の原型が発達し、小さな手足の先端には指の分化が始まります。タイミングが良ければ、手足をピクピクと動かす「初期胎動」の兆候をエコー動画の中で目撃できるケースもあります。