「ゴリラ」という言葉そのものは、一体どこからやってきたのか。そのルーツを辿ると、なんと紀元前5世紀の古代カルタゴの探検家航海記にまで遡ります。
カルタゴの航海者ハンノがアフリカ西海岸を探検した際、海岸沿いの島で全身毛むくじゃらの獰猛な部族に遭遇したと航海日誌に記しました。現地案内人が彼らを呼んだ言葉がギリシャ語転写で「Gorillai(毛むくじゃらの人々)」でした。これが歴史上初めて「ゴリラ」に類する言葉が登場した記録です。
その後、近代科学においてゴリラが西洋社会に「再発見」されたのは1847年のことです。アメリカの宣教師・医師であったトーマス・サベージ(Thomas Staughton Savage)と、解剖学者のジェフリーズ・ワイマン(Jeffries Wyman)が、西アフリカのガボンで入手した頭骨や骨格標本を調査し、新種として学術誌に記載しました。
サベージらは古代ハンノの航海記にちなんで、種小名を「gorilla」と命名。当初はチンパンジー属に入れられて「Troglodytes gorilla」と名付けられましたが、1852年にフランスの動物学者イシドール・ジョフロワ・サン=ティレールが独自の「Gorilla属」を創設。ここで「Gorilla gorilla」の二名法が成立しました。
20世紀に入り、東部でマウンテンゴリラが発見されたことで複数亜種の分類整理が行われ、最終的にニシローランドゴリラに対して「Gorilla gorilla gorilla」の学名が定着したのです。