ゲーム開発史の観点から見ても、バルフレイナイトの誕生経緯は極めて異例です。本キャラクターの元ネタは、2000年代中盤に任天堂およびハル研究所が開発を進めていたものの、諸事情により開発中止となった「幻のニンテンドーゲームキューブ版『星のカービィ』」のパイロット映像や設定資料に遡ります。
当時公開された短い開発映像の中に、昆虫の翅を持つ黒と赤を基調とした甲冑の騎士が一瞬だけ映り込んでいました。長年ファンの間では「没になった幻のボス」として語り継がれていましたが、2018年発売の『星のカービィ スターアライズ』の追加コンテンツ「星の〇〇〇〇 スターフレンズ でらっくす」のラストボスとして、実に10年以上の歳月を経て劇的な公式デビューを果たしたのです。
開発陣の手によって「過去に葬られた幻の存在」が「死者の魂を司る黄泉の騎士」として再定義されたこの設定は、メタ的な開発経緯と作中世界の伝承が見事にリンクした、シリーズ屈指のハイコンテクストな演出として絶賛されました。