求人現場のリアルな採用条件を調査すると、二つの資格に対する需要の変化が鮮明に見えてきます。とくに医療機関と教育分野では、募集要項の文言に決定的な違いが生じています。
精神科・心療内科をはじめとする医療機関の求人票では、応募要件に「公認心理師必須」と記載されるケースが定着しました。この背景には、厚生労働省による診療報酬改定があります。「小児特定疾患カウンセリング料」などの各種心理療法の保険点数算定要件において公認心理師が明記されたため、医療機関の経営視点からは公認心理師を雇用しなければ保険請求が成立しない構造になっているからです。
一方、文部科学省が管轄するスクールカウンセラー(SC)の採用現場でも地殻変動が起きています。かつては臨床心理士が事実上の独占状態にありましたが、現在の公募要綱では「公認心理師」が筆頭資格として位置づけられています。現場の学校関係者は次のように証言します。
「近年の学校現場では、不登校や発達障害への支援だけでなく、SNSを通じたトラブルや小学生を標的とした性的グルーミングといった新たなリスクへの対応が急務です。心理職には、密室でのカウンセリングだけでなく、教員や保護者、警察、児童相談所とシームレスに情報連携できる法的な立ち位置が求められます。そのため、多職種連携を教育課程で叩き込まれている公認心理師への期待が急速に高まっています」
しかし、教育現場のベテラン層からは「資格名称は公認心理師であっても、実際の面談技術や査定力に関しては、長年スーパービジョンを受けてきた臨床心理士の方が安心感がある」という本音も聞かれ、現場の評価は二極化しています。