『地縛少年花子くん』の恋愛要素を語る上で絶対に外せないのが、ファンの間でも屈指の人気を誇る「エソラゴト編(単行本11巻〜12巻)」です。
七不思議の四番・シジマメイが描いた絵画の世界「エソラゴト」では、花子くんは怪異ではなく、生前の姿である男子高校生「柚木普」として存在していました。この偽りの世界では、寧々の「余命が残り1年未満」という過酷な運命が存在せず、天寿を全うして生き続けることができます。
普(花子くん)は、寧々が本来の現世へ戻ればすぐに命を落としてしまうことを知っていたため、彼女をこの偽りの世界に永遠に閉じ込め、生かし続けようとしました。しかし、寧々は「花子くんがいない未来なんて嫌だ」「本当の花子くんと一緒にいたい」と涙ながらに拒絶します。
第58話から第59話にかけての天体塔(天文室)での対峙では、花子くんの「俺は寧々に生きててほしいんだよ」という切実な叫びと、寧々の「私は花子くんが好き」という実質的な告白とも取れる純粋な想いがぶつかり合います。互いを想うがゆえにすれ違う二人の姿は、作中屈指の胸キュンシーンでありながら、読者の涙を誘う屈指のエピソードとして語り継がれています。