「まんぐり返し」という独特の語感は、昭和や平成のサブカルチャーで生まれた造語ではありません。そのルーツは江戸時代の艶本や春画、遊郭文化にまで遡ります。当時の戯作や浮世絵師・喜多川歌麿や葛飾北斎らが遺した春画名作集のなかにも、酷似したアクロバティックな構図が頻繁に描かれていました。
語源については国語学者や風俗史研究者の間でも複数の説が存在します。古語における性行為を指す「まぐわい(目合ひ)」が音変化したという説、あるいは物が丸みを帯びて転がる様を表す方言的表現「まぐれる」「まんぐり」が合わさり、「体を丸めてひっくり返す」動作を表すようになったという説が有力です。
江戸期の町人文化においては、滑稽さや奇抜さを楽しむ一種の「芸当」に近いニュアンスも含まれており、身体の柔軟性を誇示するアクロバティックな遊戯性と言葉遊びが融合して定着したと考えられています。