画面を開くと広がる無数の炎マーク。この事故物件公示サイトを取り仕切る人物の正体は、長年メディアにも本名と素顔を晒して登壇を続けている大島学(おおしま まなぶ)氏です。
「大島てる」という屋号は個人名ではなく、大島氏の実の祖母の名前に由来しています。大島氏は東京大学経済学部を卒業後、コロンビア大学大学院へ進学した超エリートの学歴を持ちます。エリート街道を歩んでいた彼がなぜ、タブー視されていた不動産のダークサイドに切り込むことになったのか。その原点は、実家が所有していた賃貸物件の管理実務にありました。
大島氏が過去のメディア取材や単行本などで明かした証言によると、祖母が保有していた賃貸不動産において、仲介業者が契約ごとに賃料の5〜10%を手数料として中抜きする構造や、いわくつきの履歴を巧妙に隠蔽して借主へ押し付ける旧態依然とした商慣習に強烈な不信感を抱いたことが創業の契機でした。「借り手や買い手が不利益を被る情報の非対称性を解消したい」という義憤が、2005年9月のサイト開設につながっています。
当初は東京都23区および近隣エリアに限定し、大島氏自らが図書館に籠もって過去の新聞縮刷版をめくり、現地へ自転車を走らせて登記簿謄本や近隣住民への聞き込みを行う「完全な足を使った独自調査」でした。しかし、サイトの知名度が急上昇するにつれて投稿フォームを開放し、2010年代以降はユーザーからの情報提供を取り込むCGM(Consumer Generated Media)形式へと舵を切りました。この転換によって、情報は日本全国、果ては海外主要都市にまで爆発的なスピードで網羅されることになったのです。