市販の板チョコレート(スナック用)と製菓用チョコレートの最大の違いは、含まれている「カカオバターの比率」と「植物油脂の有無」に集約されます。
一般的な板チョコは、20度前後の室温で手で持っても溶けにくく、口に含んだ瞬間に心地よい甘さと滑らかさを感じられるよう、植物油脂や乳化剤、全粉乳が絶妙なバランスで配合されています。つまり「そのまま食べる菓子」として最適化されているのです。これを湯煎で溶かしてお菓子作りに使おうとすると、植物油脂とカカオバターの融点の違いから油脂が分離し、ボソボソとした塊になってしまったり、生クリームの水分と綺麗に乳化(エマルション形成)しなかったりします。
一方、製菓用チョコレートの代表格であるクーベルチュールチョコレートは、国際食品規格(CODEX)において「総カカオ分35%以上、カカオバター31%以上、無脂カカオ固形分2.5%以上、代用油脂は5%以下」という厳格な基準が定められています。カカオバターが30%以上豊富に含まれているため、溶かしたときの流動性(サラサラ感)が極めて高く、ケーキの薄いコーティングや繊細な型抜きチョコを作っても、均一でパリッとした薄いシェルに仕上がります。