インターネット上の相談窓口やSNSでは、「十分回復していないのに急性期病院から追い出された」「亜急性期病棟へ移されたが、これは病院のたらい回しではないか」といった不満や悲痛な叫びが散見されます。しかし、この現象の裏には制度設計と家族感情の間に横たわる構造的なギャップがあります。
最大の誤解は、「入院していれば医師や看護師が付き添い、元の健康な状態に治してくれる」という期待です。現代の日本の医療制度では、急性期病棟がベッドを空けて次の救急患者を受け入れるため、症状が一段落した患者を平均在院日数14日以内に転棟・転院させなければ病院の診療報酬が大幅に減額される構造になっています。つまり、転棟打診は患者を見捨てたのではなく、「国の医療計画に沿った適切なステップ」に過ぎません。
もう一つの盲点は、亜急性期病棟で受けられるリハビリの量に対する失望です。「リハビリ病院に移る」と聞いて「毎日何時間も歩行訓練をして、以前のように元気に走れるようになる」と思い込んでいた家族が、1日40分程度のリハビリと自主トレーニング中心のスケジュールを見て「放置されている」と錯覚してしまう事例が後を絶ちません。
亜急性期はあくまで「病状を安定させ、生活環境を整えて退院する準備期間」です。この本質を見誤ると、医療従事者への不信感ばかりが募り、退院に向けた前向きな準備が停滞してしまいます。