日が暮れたからといって、空のドラマが終わるわけではない。むしろ、自然科学・天文学の世界における真の幕開けはここからだ。
国立天文台の上席教授であり、広く天文学の魅力を伝え続けてきた渡部潤一氏は、日没直後の空の観察こそが宇宙への最高の入り口だと語る。太陽の眩しさが退いたあとの西の空には、真っ先に輝き始める「宵の明星」金星や、力強く光を放つ木星が姿を現す。やがて薄明が完全に去り、漆黒の夜へと移行するにつれて、一等星たちが次々と点灯するように煌めき出す。
都市部であっても、日没後の30分から1時間ほど目を凝らせば、惑星たちの力強い光芒をはっきりと捉えることができる。昼の喧騒がフェードアウトし、宇宙の奥行きが露出する時間帯。日没後の天体観察は、私たちが巨大な天体の上で暮らしているという事実を、もっとも静かに実感させてくれる体験だ。