登坂車線(ときはんしゃせん/とうはんしゃせん)は、道路構造令第21条に基づき、普通道路の縦断勾配が原則5パーセント(設計速度が100km/h以上の高速自動車国道では3パーセント)を超える急坂区間に設置される付加追越車線です。上り坂でエンジン出力が追いつかず、速度が著しく低下する貨物自動車などの低速車両を本線の交通流から分離し、渋滞防止と事故予防を図ることを目的としています。
法律上の最大の特徴は、「本線車道」ではないという点にあります。道路交通法第2条第1項第18号の2において、本線車道とは「高速自動車国道又は自動車専用道路の本線車線により構成される車道」と定義されています。走行車線や追越車線はこの本線車道に該当しますが、登坂車線や路側帯、インターチェンジの加減速車線(ランプウェイ)は本線車道から除外されています。
よく混同されるのが、地方の一般道路や山間部の2車線道路で見かける「ゆずり車線」です。目的自体は「後続の速い車両に道を譲る」という点で類似していますが、設置基準や適用される道路規格が異なります。高速道路に設置される登坂車線は高規格な設計勾配に基づいて厳格に法制化されている一方、ゆずり車線は一般国道や地方道における追越し困難区間の局所的なボトルネック解消策として柔軟に設置されているケースが主流です。