消毒液が手元にないとき、キッチン用アルコール除菌スプレーを手肌に吹きかけて代用してしまうケースが見受けられますが、これは皮膚科学的にも衛生管理上も避けるべき危険な行為です。
根本的な違いは、医薬品医療機器等法(薬機法)における製品の区分にあります。薬局などで販売される手指消毒液は、人体への安全性が検証された「指定医薬部外品」または「医薬品」です。肌の水分蒸発を防ぐグリセリンなどの保湿剤が配合されており、皮膚のバリア機能を保護する設計が施されています。
一方、キッチン用アルコール除菌はテーブルや調理機器を対象とした「雑貨」に分類されます。人体への直接噴霧を想定していないため保湿剤は含まれておらず、純粋なエタノールや油汚れを落とす成分が皮膚の必要な皮脂まで根こそぎ奪い去ってしまいます。その結果、激しい乾燥やひび割れ、接触皮膚炎(手荒れ)を引き起こし、傷口から黄色ブドウ球菌などの菌が繁殖しやすい肌環境を作ってしまうのが手荒れの真相です。手肌の消毒には必ず専用の消毒液を使用しましょう。