事故発生から40年が経過した2026年現在、象の足の放射線量は物理的な崩壊に伴い大幅に低下しています。短寿命の核種が消滅したことで、現在の表面線量は発見当初の数百分の一(毎時数十〜数百レントゲン程度)まで落ち着いていると推計されます。しかし、安全になったわけでは決してありません。
セシウム137(半減期約30年)やストロンチウム90(半減期約29年)といった主要核種は依然として残存しており、プルトニウム239のように半減期が2万4000年に及ぶ長寿命の超ウラン元素も含まれています。防護装備なしで近寄れば、現在でも短時間で危険な被曝を受けるリスクに変わりはありません。
さらに現在、現場で最も警戒されているのが「デブリの風化(ダスト化)」です。象の足は長年にわたる強力な自己放射線照射と、地下の多湿な空気によって内部から結晶構造が劣化しています。かつてはドリルの刃すら通さなかったガラス状の硬質物質が、乾燥とひび割れによって脆い砂状・粉末状へと変化しているのです。
塊として留まっている限りは局所的な遮蔽が可能ですが、微細な放射性ダストとなって空気中に舞い上がれば、作業員の内部被曝リスクや外部への漏洩リスクが跳ね上がります。固化剤の散布などによる粉塵飛散防止が、現場の日常的な最重要課題となっています。