インターネット上の掲示板や経営者仲間の雑談で、今なお根強く囁かれている誤った言説があります。「交際費の限度額がカツカツになったら、渉外費という科目で処理しておけば税務署の目を逸らせる」「渉外活動なのだから全額経費で落ちる」というものです。調査報道の現場から断言しますが、これは税務調査の現場を知らない素人の危険な妄想に過ぎません。
国税局の調査官が企業を訪れた際、最初にチェックする勘定科目の一つが「雑費」であり、次が「渉外費」「諸会費」といった曖昧な名称の科目です。調査官は「科目の実態と実質課税の原則」を徹底的に叩き込まれており、帳簿の表面的な名称には一切惑わされません。むしろ、一般的な「交際費」ではなくわざわざ「渉外費」を多用している企業に対しては、「何か意図的に隠そうとしているのではないか」と警戒レベルを引き上げます。
実際に、過去の国税不服審判所の裁決事例や裁判例を見ても、「社内規定で渉外費と定めていたとしても、相手方が取引先であり、関係円滑化を目的とした供応である以上、法人税法第61条の4に定める交際費等に該当する」として納税者側の主張が退けられた事例は枚挙にいとまがありません。科目名で課税を逃れることは現代の税務調査において100%不可能です。