なでしこの名前の語源は、古語の「撫でし子(なでしこ)」に由来します。小さく愛らしい花びらの様子を、まるで「撫でるように可愛がりたい愛児」に重ね合わせて名付けられました。平安時代の『枕草子』でも、清少納言が「草の花は撫子、唐人のも大和のも」と記し、その美しさを絶賛しています。
では、なぜ「大和撫子」という言葉が定着したのでしょうか。平安時代、中国大陸から華やかな「唐撫子(カラナデシコ/セキチク)」が渡来しました。これに対し、日本古来の野に咲く在来種(カワラナデシコ)を区別するために「大和撫子」と呼び分けたのが始まりです。
風雨に耐えながら凛として咲く大和撫子の姿は、控えめでありながら内面に強靭な芯を持つ日本女性の理想像と重ね合わされ、時代を超えて受け継がれる文化概念へと昇華しました。