日本全国の地震動を定量的に把握する上で不可欠な一次資料が、気象庁が公開している「震度データベース」です。過去100年以上にわたる観測記録から、震度1以上の「日常生活で体感できる揺れ」の積算回数を都道府県別に抽出すると、歴然とした地域差が存在することが分かります。
長期的な集計において、有感地震の発生件数が全国最少水準を維持し続けているのは富山県と佐賀県です。これに岡山県、島根県、香川県が続く構成となっています。特に富山県や佐賀県における年間平均の有感地震回数は、激甚なプレート境界型地震に頻繁に見舞われる東北太平洋側や南関東と比較して、わずか数十分の一から百分の一程度にとどまる年が少なくありません。
こうしたリスクの低さは、金融工学と統計データに基づいて設定される民間保険の数字にも直結しています。損害保険料率算出機構が算出する「地震保険基準料率」において、各都道府県は倒壊・罹災リスクに応じて以下のように区分されています。
保険料率という冷徹な金融指標を見ても、東京や神奈川といった南関東や南海トラフの直撃が予測される太平洋沿岸部と、第1等地に指定されている地域とでは、毎年支払う保険料に最大約3倍もの開きが生じています。数字の上で富山や佐賀、中四国の瀬戸内側・山陰側が「地震の少ない地域」として扱われてきたのは、揺れの観測回数と構造物損壊確率において歴然とした優位性を持っていたからです。