イベントの中止がもたらした社会的・経済的インパクトは計り知れなかった。市内のホテルや旅館では直前キャンセルが相次ぎ、書き入れ時を迎えていた飲食業や物販店は大きな打撃を受けた。警備費や設営費用など、すでに発生していた固定費の精算問題も重くのしかかった。地方都市にとって、夏のメインイベント失念は単なるレジャーの消失にとどまらない深刻な問題だった。
経済的打撃以上に市民の心を痛めたのは、戦後復興と戦没者慰霊の思いを込めて続けられてきた「とうろうながし」の伝統が途切れたことだった。先祖への祈りや平和への願いを書き込んだ灯籠を海へ流す行為は、敦賀の人々にとって魂の儀式でもある。安全と伝統の狭間で揺れた市民の葛藤は、地方伝統行事の持続可能性という問いを浮き彫りにした。