このジェスチャーのルーツを辿ると、遠く古代ローマの剣闘士競技へと行き着く。敗れた闘士の生死を観客が決める際、親指の向きが運命を左右したという説が有名だ。もっとも、当時は親指を立てる行為こそが「剣を抜け(殺せ)」を指し、倒す動作が助命を意味していたという見解も根強く、歴史的解釈は一様ではない。
時代が下り、映画産業が世界的なイメージの共通化を決定づけた。特にアーノルド・シュワルツェネッガーが主演を務めた金字塔映画『ターミネーター2』のラストシーンは、世界中の観客の記憶に焼き付いている。溶鉱炉に沈みゆくT-800が最後に掲げた親指は、自己犠牲と希望を象徴する究極の演出として、世界的なアイコンとしての立場を盤石なものにした。