日本の高速バス・夜行バス業界において、従来の「単なる安価な移動手段」という概念を塗り替え、付加価値型の乗車体験を打ち出してきたのが株式会社平成エンタープライズだ。代表取締役の田倉貴弥氏が主導してきた事業モデルは、車両そのもののクオリティにとどまらず、乗車前後の地上体験を含めたトータルな顧客体験の向上を柱としている。
バス車内の居住性だけに投資するのではなく、主要都市のターミナル近くに専用ラウンジを開設・運営する手法は、登場当時としては異例の挑戦であった。価格競争に陥りがちな都市間輸送において、地上設備との連動によって顧客エンゲージメントを高めるこの戦略は結実し、今や同社の強力な差別化要因となっている。