ドラッグストアで購入した一般的な市販薬(中枢性鎮咳薬など)を服用しても一向に咳が鎮まらない場合、気道で起きている現象が「単純な咳反射」ではない証拠です。臨床上、特に警戒すべき3つの病態が存在します。
① 咳喘息(せきぜんそく)
インフルエンザ感染を契機として気道のアレルギー性炎症が慢性化し、気管支が狭くなる疾患です。ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難を伴わない乾いた咳(空咳)が特徴で、夜間から早朝、季節の変わり目、タバコの煙などで発作的に悪化します。放置すると約30%が本格的な気管支喘息へ移行するとされているため、吸入ステロイド薬による早期治療が不可欠です。
② 細菌の二次感染による肺炎・気管支炎
ウイルスによって気道の線毛運動(異物を外へ押し出す防御機能)が麻痺している隙を突き、肺炎球菌や黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌などの細菌が肺深部に侵入して増殖する病態です。一度下がった熱が再び上がる「二峰性発熱」や、黄色や緑色の粘り気のある痰、深い呼吸時の胸の痛みを伴う場合は、重症化を防ぐため直ちに抗菌薬投与が必要です。
③ 胃食道逆流症(GERD)や副鼻腔気管支症候群の併発
激しい咳き込みによって腹圧が上がり、胃酸が逆流して食道や喉を刺激することでさらに咳が出るケースや、後鼻漏(鼻水が喉の奥に垂れ込むこと)が気管を刺激して咳を誘発しているケースも珍しくありません。