受傷直後の高砂部屋は、張り詰めた重苦しい空気に包まれていた。稽古場に響く若い衆のぶつかり稽古の声も、どこか湿り気を帯びていたという。しかし、当の朝乃山本人は、診断結果を聞いた直後こそ言葉を失ったものの、翌朝には師匠に対して真っ直ぐ前を見据え、「もう一度、必ず強い姿で戻ります」と力強く伝えた。
スポーツニュース・報道ドキュメンタリーがこれまで幾度となく記録してきたように、彼は過去の処分や怪我による序二段転落という地獄を一度経験し、そこから泥をすすって這い上がってきた男だ。部屋関係者は「あいつの心の芯は折れていない。むしろ、このまま終わってたまるかという闘志が以前よりも燃え盛っている」と証言する。周囲の懸念を跳ね除けるだけの強靭な精神力が、いま再び試されている。