結論から言えば、絵の具や塗料をどんな比率で混ぜ合わせても白色を作ることはできません。この現象の背景には、物理学における「減法混色(Subtractive Color Mixture)」の明確な法則が存在します。
絵の具の発色は、顔料が特定の光の波長を吸収し、反射した残りの光が人間の目に届くことで認識されます。いわゆる色の三原色混色(シアン・マゼンタ・イエロー)を重ね合わせると、それぞれの顔料が光を奪い合うため、混色するほど反射する光の量が減少します。その結果、明度が下がり、最終的には黒色へと近づいていきます。これが、混色によって白が作れない決定的な理由です。
現代の絵の具や塗料で使われる圧倒的な白の主役は、チタンホワイト顔料(二酸化チタン:TiO₂)です。高い屈折率と隠蔽力を持ち、可視光線のほぼすべてを均等に散乱・反射させることで、濁りのない純白を表現しています。白絵の具は「混ぜて作るもの」ではなく、「光を全反射する固有の顔料物質」として用意しなければなりません。