著名なクリエイターの子供が同じ業界で成功を収めると、ネット上では短絡的に「親のコネではないか」「大手誌で優遇されただけではないか」といった冷ややかな声が上がることがあります。しかし、板垣巴留の足跡を検証すると、そうした推測がいかに的外れであるかが明白になります。
彼女が『週刊少年チャンピオン』に投稿・持ち込みを行った際、編集担当者は彼女が板垣恵介の実娘であることを知らされていませんでした。生原稿の圧倒的な描き込み、動物の骨格筋や眼球の動きに至るまでの狂気的な描写力、そして何より「誰も見たことのない物語を生み出す構成力」に惚れ込んだ現場編集者が、純粋な才能として発掘したのが始まりです。
もしコネによる下駄を履いていたのであれば、講談社が主宰する『マンガ大賞』や朝日新聞社主宰の『手塚治虫文化賞』といった、出版社の枠組みを超えた第三者審査による主要賞を独占することは不可能です。自らの実力だけで業界全体の評価をもぎ取ったという事実こそが、根拠のない邪推を完全に打ち砕いています。