1996年、ドラマ『ロングバケーション』の主題歌としてミリオンセラーを記録した『LA・LA・LA LOVE SONG』。この国民的アンセムの誕生背景には、久保田利伸が単身ニューヨークへ拠点を移し、本場のアーティストたちと渡り合う中で培ったタフなソウルが息づいています。
関係者の証言や当時の制作秘話によると、当時ニューヨークの同じアパートメントに住んでいたナオミ・キャンベルをゲストボーカルに招き入れたのは、事前の計算ではなく、スタジオでの偶発的なセッションとフィーリングから生まれたアイデアでした。この「現場の熱気とグルーヴを信じる」というアメリカ現地の制作手法は、その後の彼のバラード制作にも多大な影響を与えています。
すなわち、どれほど静謐で悲哀に満ちたスロウバラードであっても、楽曲の奥底には決して緩まない強靭なリズムの芯を通すこと。『LA・LA・LA LOVE SONG』で確立された「軽やかなのにソウルフル」という音楽的文脈は、後続のアルバム収録バラード群に深みとダイナミズムをもたらす重要な契機となったのです。