なぜ消費者は、店頭に目当ての菓子がないだけで即座に「販売終了」という極端な結論に飛びついてしまうのでしょうか。ここには、現代の消費行動心理と情報拡散の構造的な盲点が隠されています。
心理学には、手に入りにくくなった対象に対して急激に執着や価値を感じる「心理的リアクタンス(反発作用)」という現象があります。日常的に買えていたものが突如棚から消えると、欠乏感から不安が増幅され、ネット上で同じ境遇の仲間を探そうとします。
さらに、検索アルゴリズムが「〇〇 売ってない」というネガティブ検索クエリを関連語として上位表示させることで、「売っていない=メーカーが作るのをやめたに違いない」という誤った集団的確信(エコーチェンバー現象)が形成されてしまうのです。
また、日本の米菓市場は「醤油味が全体のシェアの過半を占める」という強固な構造があります。小売店のバイヤーはどうしても売上計算が立ちやすい醤油味を優先して発注するため、塩味や限定味は「少し売れ行きが鈍ると即座に棚から外される」という厳しい生存競争に晒されています。銀しゃりが売っていない理由は、メーカーの都合ではなく、小売店の安全志向な発注アルゴリズムの産物に他なりません。