激震が走った。対馬暖流に乗って日本海へと流れてくるエチゼンクラゲの大群は、かつて年間数百億円規模の被害を及ぼす壊滅的な存在だった。網の中にぎっしりと詰まった巨大な躯体は定置網を食いちぎり、捕獲された魚の価値を著しく損ねた。現場の漁師たちにとって、それは悪夢そのものだったのだ。
事態の深刻さを受け、水産庁も目視観測ネットワークや音響探査船を導入した大規模な早期警戒体制を構築した。しかし、駆除や忌避といった対立的なアプローチだけでは限界がある。潮の流れを遮ることはできず、海水温の上昇は彼らの繁殖活動を後押しし続けているからだ。「退治」から「活用」へ。水産業の存続をかけた発想の根本的転換が求められていた。