北海道の救急医療における最大の壁は、圧倒的な「物理的距離」だ。手稲渓仁会病院が擁するドクターヘリは、札幌市内のみならず、道央や後志(しりべし)地方までをカバーする広大な守備範囲を持つ。しかし、冬の悪天候はフライトを阻む。そこで同院は、天候予測データと連携した独自の出動判断アルゴリズムを導入した。これにより、視界不良による引き返しを最小限に抑え、運航効率を前年比で18%向上させることに成功したという。
「飛べるか飛べないか」のグレーゾーンにおいて、長年の経験値だけに頼る時代は終わった。データが導き出す冷静な予測が、パイロットと医療チームの背中を押す。現場の医師は、「行けば救える命がある。その確率を1%でも上げるためのシステムだ」と語る。