サッカー界において、ユニフォームサプライヤーとナショナルチームの背番号にまつわる都市伝説は日本に限りません。しかし、日本代表において「アディダス条項」がここまでリアリティをもって語られてきた背景には、JFAとアディダス ジャパンが結ぶ歴史的かつ破格のパートナーシップ契約が存在します。
アディダスは1999年以来、サッカー日本代表のオフィシャルサプライヤーを一貫して務めており、その契約規模は複数年で数百億円規模に達します。代表ユニフォームの全世界販売権やマーケティング独占権を持つメインスポンサーである以上、最もメディア露出が高く、レプリカユニフォームの販売数が跳ね上がる「10番」に自社契約アイコンを据えたいと考えるのは、企業ビジネスの観点から極めて自然なインセンティブです。
しかし、JFA関係者や歴代技術委員長、代表監督の公式証言を総合すると、「契約書上に『10番はアディダス契約選手に限る』と明記された条項は存在しない」というのが揺るぎない結論です。契約書に特定の背番号指定を盛り込むことは、FIFA(国際サッカー連盟)が掲げる「チーム編成への第三者介入の禁止」やフェアプレー精神の規約に抵触するリスクがあるためです。それでもなお、歴代の10番にアディダス着用者が集中したのはなぜだったのでしょうか。