交通事故損害賠償実務の現場では、被害者救済の裏で加害者に対して冷徹な現実が突きつけられる。事故によって加害者自身が負傷した場合、本来であれば自身や家族を守るはずの人身傷害補償保険は適用されない。過失割合に応じた相殺どころか、酒気帯び運転による事故は重大な故意・重過失に該当し、保険会社の免責事由に直結するためだ。
つまり、自分の怪我の治療費や後遺障害に対する補償はゼロ。それどころか、加害車両に同乗していた知人や家族に対する賠償を巡っても、過失相殺や同乗者の不適合認識が激しい争点となる。自らの不徳が招いたツケは、そのまま数千万円から億単位の個人的な負債へと変わる。加害者にとっての保険は、自分を助ける鎧にはなり得ないのだ。