「ミルクを規定量飲ませたのに1時間でギャン泣きする」「混合育児で母乳の後に何ml足せばよいか分からない」という悩みは、育児初期の体力を著しく奪う要因だ。ここには混合栄養特有のメカニズムと乳児の睡眠周期が複雑に絡み合っている。
まず混合育児でミルクを足す量の目安を整理すると、原則は「母乳を左右それぞれ5〜10分程度しっかり吸わせた後、直後にミルクを足す」ワンセット方式をとる。補足するミルク量は、生後2週間〜1ヶ月未満であれば1回あたり20〜40ml、生後1ヶ月以降で母乳分泌が立ち上がってきた段階なら40〜60ml程度からスタートするのが標準的だ。デジタルスケールで授乳前後の体重を毎回グラム単位で測定し、数学的な引き算でミルク量を決めようとする親が多いが、母乳の射乳量は時間帯や疲労度で1回ごとに30〜50ml平気で変動する。スケールの数値に一喜一憂する行為は、かえって母親のオキシトシン分泌を阻害し、母乳出を鈍らせる要因になりかねない。
次に、授乳間隔が空かない原因と対策を深掘りする。粉ミルクは母乳に比べて消化吸収に時間を要するため、一般的に3時間程度の間隔が空くとされている。それにもかかわらず1〜2時間で激しく泣き出す場合、その大半は「空腹」ではなく「吸啜(きゅうてつ)欲求」または「浅い眠り(レム睡眠)の移行期における覚醒」である。
赤ちゃんは生後数ヶ月間、口に何かを含んで吸うこと自体で副交感神経を優位にし、精神的な安定を得る本能を持っている。したがって、直前に適正量を飲み干しているならば、追加の調乳を行う前に以下のアプローチを試行することが推奨される。
・抱っこの体勢を変え、縦抱きで軽く背中をトントンして胃内の残留ガスを流す
・おしゃぶりや清潔な大人の指先を吸わせて入眠を促す
・おむつ内の湿熱感や肌着の着せすぎ(乳児は大人より体温調節が未熟)をチェックする
・外気浴や部屋の換気を行い、環境刺激によって覚醒リズムをリセットする