朝乃山の土俵人生は、まさに栄光と挫折が激しく交錯するドラマそのものです。2019年5月場所、平幕でありながら初優勝を飾り、ドナルド・トランプ米大統領(当時)から「アメリカ合衆国大統領杯」を授与された雄姿は今も記憶に新しいところです。2020年3月場所後には大関に昇進し、将来の横綱候補として角界を背負う存在と嘱望されていました。
しかし、2021年5月場所中に発覚した新型コロナウイルス感染予防ガイドライン違反(夜間外出問題)により、日本相撲協会から「6場所連続出場停止」および報酬減額という厳罰を下されます。この処分により、大関から一気に西三段目22枚目まで番付を急降下させることとなりました。
そこからの歩みは、朝乃山の天性の相撲力と精神力を証明するものでした。2022年7月場所での復帰以降、破竹の勢いで白星を重ね、2023年1月場所で十両優勝、同年5月場所には幕内復帰を果たしました。しかし、相撲の神様は再び試練を与えます。度重なる怪我による休場と復帰を繰り返し、2024年秋以降の長期離脱によって、番付は十両から再び幕下下位へと後退しました。公傷制度が存在しない現在の土俵において、休場は即座に番付降下を意味する過酷な現実が横たわっています。