平成から令和へと改元された2019年、東映とテレビ朝日が総力を結集して立ち上げたのが、記念すべき令和仮面ライダー第1作『仮面ライダーゼロワン』でした。シリーズの命運を左右する新時代の主役に選ばれたのが、当時18歳だった高橋文哉です。本作こそが彼の俳優デビュー作であり、本格的な芝居の第一歩となりました。
芸能界入りのきっかけは、応募総数約1万人を記録した「男子高生ミスターコン2017」でのグランプリ獲得です。しかし、コンテスト出身者が即座に国民的特撮シリーズの単独主演を射止めるケースは極めて異例でした。当時の番組プロデューサーや監督陣が明かした選考の舞台裏によると、最終選考に残った多数の候補者の中で、高橋の放つ放電のような存在感が群を抜いていたと証言されています。
決め手となったのは、カメラテストで見せた「目力の強さと圧倒的な透明感」です。未経験ゆえの荒削りさはあったものの、演出家の要求をスポンジのように吸収する柔軟性と、失敗を恐れずに感情をぶつける愚直な姿勢が、「AIと人間の共存」という重厚なテーマを背負う主人公像に合致しました。単なるビジュアルの良さだけでなく、過酷な1年間の長期撮影を乗り切る精神的タフネスを見抜かれたことが、大抜擢の決定打となったのです。