港区三田の超高層再開発ビル群が急速に輪郭を現すなか、聖坂の現場に立つ蟻鱒鳶ルは、いまなお力強い生命感を放ち続けています。結論から言えば、蟻鱒鳶ルは解体されることなく、無事に「曳家」による敷地内移築を完了させ、2026年現在も新たな定位置で岡啓輔氏による自力建設が力強く継続されています。
周囲で進む「三田三・四丁目地区第一種市街地再開発事業」という巨大資本のプロジェクトに対し、わずか十数坪の個人建築が立ち退きを拒み、最終的にデベロッパー側と協調して建物を丸ごと数十トン単位でジャッキアップし、数メートルセットバックして残すという結末は、日本の都市開発史においても前代未聞の出来事でした。
現在の現場では、強固な新基礎の上に据え付けられた蟻鱒鳶ルに対し、上層部の仕上げや接合部分の緻密な施工、さらなる造形作業が岡氏の手によって日々積み重ねられています。無機質な超高層タワーの足元で、手仕事の凹凸と温かみを帯びたコンクリートの塊が呼吸を続けている光景は、訪れる人々に強烈なインパクトを与えています。