主人公・南方仁を演じた大沢たかおの存在抜きに、この作品の成功は語れない。近代医学の知識を持ちながらも、歴史を変えてしまう恐怖と目の前の命を救いたいという倫理観の狭間で葛藤する医師の苦悩を、大沢は繊細かつ力強い眼差しで体現した。
撮影当時、大沢は役に没頭するあまりプライベートの時間を削り、膨大な量の医療指導を徹底的に叩き込んだという。汗と泥にまみれながらペニシリンの精製に挑む姿や、頭蓋骨穿孔手術に命を懸ける緊迫のシーンは、フィクションを超えたドキュメンタリーのような迫力を生み出した。2026年現在、大沢は数々の歴史大作映画やグローバルプロジェクトで第一線を走り続けているが、多くのファンにとって『JIN-仁-』で見せた愚直なまでに命に向き合う姿は、今なお彼の代表作として根強い支持を集めている。