陸奥A子先生といえば、1970年代半ばから1980年代初頭にかけて集英社の少女漫画誌『りぼん』で巻き起こった「乙女ちっく」路線の絶対的エースとして知られます。それまでの劇的で波乱万丈な少女漫画とは一線を画し、眼鏡をかけた少し不器用な少女とアイビールックの優しい男の子が紡ぐ、日常のささやかな恋模様を描き出して当時の少女たちの心を鷲掴みにしました。
代表作として名高い『たそがれ時に見つけたの』(1976年)や、冬の澄んだ空気感と温かな恋心を描いた『粉雪ポルカ』(1977年)は、今読み返しても色あせない叙情性とハイセンスなファッションセンスが凝縮されています。その他にも『ハロー! 恵美ちゃん』『すきまお化け』『おしゃべりな時間割』など、読者の心に寄り添う傑作を次々と世に送り出しました。